枝まめ/はるな
 

枝まめのからをいちいち剥いて、煮立った出汁にいれてすぐに火を止める。つやつやした色のつぶ。おとうふはいちど湯がくと灰汁がでてやわらかな口どけになる。片栗粉を水で溶いていたら夫から電話があり、遅くなると言う。夕飯はいらないよと。


なにもかも放りだしてしまいたいな、とおもいながら、何もかも放り出せたことなんて、今まであっただろうかと考える。なにもかもって何だろう?そんなに沢山いつの間に持っていたんだろう。早く、たくさん、捨てなくっちゃ。すみやかに、きれいに、すっきりと。
みんな行ってしまうね。みんな行ってしまったよ、と、彼に言うと、行ってしまったのはあなたのほうだ、と、返される。不思議
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