風とオルガン/南 さやか
隣室から響くオルガンの音で目が醒めた
そこには何もない
ただ 君と過ごした時間の跡形だけを そのままにしてるだけなのに
やっぱりオルガンが鳴っている
ノックをしたら 音楽は止むだろう
だからこのままずっと聞いていたかった
君が奏でるレクイエム
ちいさなちいさな命を抱いて 君が鳥になった朝
何も知らずにここで 僕は君の絵を描いてた
記憶の中に佇む君の
現実の君とは少し違う 穏やかな微笑みは
一年前の君だ
そして鳥になって空を行ったあとの
今の君かもしれない…
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