かげぼふしのありくくに/salco
齟齬の由来
影はいつも
動く舗道の上
坂もスルスル
ずるいね
こっちは歩いているのに
考える人はこっちなのに
のっぺらぼうの頭の方が
よっぽど考え深げ
憂わしげだ
「そうね。死体に影は生えない」
かげぼふしのありくくに
へらへらと空から
足元にビラが舞い落ちた
拾って読めば頭脳に沁み込む
『このさきはかげぼふしのありくくにです。
そこではあなたのしゆたいせいなぞ
かげぼふしにすひとられてしまふのです。』
市場の取っつきには
筵敷きの陰門おんなが座ってい
鮑そっくりなびろびろの肉顔の真中から
イクラみたいな卵子を毎日ひ
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