道程ー道その一〇/……とある蛙
 
最初の一歩は
校門へ
向かう小さな登校路
桜の花びらが
ひらひらひらひら
舞っていた

ピンクの風が吹く季節
母の手をぎゅっと握り締め
木造校舎の仮講堂
校長先生への御挨拶
一生懸命大声で
言われとおり挨拶し

漸く背負ったランドセル
とても重いと感じていたが
よろよろ道を歩き出し、
年とともに重くなり
歩いて歩いて辿り着く
楽しくもない大人に憧れて

代わりに歩く人も無く
歩いて歩いて歩いて歩く
隣に歩く人もいるが
次第次第に見えなくなり
そのうち一人で歩いていたり、

それでも違うと首を振り
一緒に歩く人を探し
のろのろのろのろ
山道を
峠の上で眺めたものは
気味の悪いいびつな轍と
その後を辿る小さな足あと

後はただ下り坂
分かっていても歩いている
のろのろのろのろ下り坂
いつまで経っても着かない下へ
いつまで経っても着かない下へ

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