夢のあと/南 さやか
 
ただいま… と言って静かに散って行った
今年の君
まるでいつも通り
決まった道をゆっくりと往復する少女のように

見上げる僕の左頬に はらり
降り注ぐひとひらの遺言のように
それはか弱く重く 美しい

おかえり
そして 再びいってらっしゃい…

かなしい春の 営みとともに
深まりはじめる 夢のなかの空


戻る   Point(2)