ほとり しずか/木立 悟
 

まちがいを
さらにまちがえて夜になり
鳥は紅い灯へ帰り
葉の下へ 音は 葉の下へ


銀に鉛で冬になり
傷を晒してたたずんでいる
聞こえぬほうへ 何も聞こえぬほうへ
歩いてゆく


月が編まれた布をほどき
糸を重ね重ね重ねる
ちから無き手のひら
傾げるだけの手のひら


水に沿って並ぶ檻には
何かが入っていた気配さえなく
ただ空白を吸う空白が
何者かの未来を見つめている


霧とけもの
影だけがゆく
晴れることのない
さかさまをゆく


音を持たない光を連れて
海のかたちを歩む鳥
朝が現われはじめても
波は夜ばかり打ち寄せる


























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