ほとり しずか/木立 悟
 





午後を夜に変える光を
首にまぶして遊んでいる
声の無い鳥たち
枝のなかのはばたき


土に臥せるほどかがやく花
枯れ野を歩む枯れ野の足音
砂と光が
空をなぞり 花をなぞる


埋めては忘れ 埋めては忘れ
見えなさばかりが豊かになり
その他は球く歪み狭まる
鳴らないように 鳴らさぬように


たそがれ
生まれの無い陽
にじみ
坂の 向こう側の陽


祭の跡
積み上げられる霧の切れ端
終わるつもりもなく
終わりは終わる


棄てられた機械を花が覆い
風が覆う
空の数だけ空があり
異なる時間を照らしている



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