嵐を呼ぶ女/まーつん
 

出会いの恵みを 降り注ぐ

君が そうなのか?
探し続けてきた 答えなのか?

振り向きかけた僕の目に 強い風が覆いかぶさって
視界の中にぼやける 一人の女のシルエット
赤いドレスと 長い黒髪
決然とした足取りで 歩み寄ってくる 君

その瞳の中でせめぎ合うのは
弱者を蔑む冷ややかさと
世界を変えようとする情熱
両者の摩擦の間から
逆巻く風が絶え間なく生み出されて
君の周りに吹き荒れている

僕はそれを 信じがたい思いで見つめている

君はまるで台風の目
怒れる愛の律動
求めているのは 黄金でも崇拝でもない
その 底なしに黒い瞳が探しているのは

全てを照らし 明らかにする光
全ての闇を 吹き払う風

僕は思わず 尻もちをついて
呆けたように 君を見上げた

自分では とても釣り合わないと思いながら

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