「詩は、酔っ払って落水しても溺れる心配のない便利な海だ」と言いたいだけの詩/風呂奴
 
1

酔いどれ船の上で
朝日を待っていました

海のない部屋で
発泡酒の空き缶を
3つ4つ潰す夜
浮かび上がる船体に
千鳥足で乗り込むだけの
シンプルな船旅

朝日は
僕らが待ち望まなくとも
昇るらしいから
待ちぼうけることはない
空き缶が潰れる度
船底は丈夫になるし

溺れる海もない船上より
朝日を待っていました


2

6本の弦と
ありふれた酩酊で
密封した夜

気楽な海が
ノートの上へ
垂れてゆく

滴る海水は
言葉になって蒸発するから
ノートはいつでも
乾いている
そんな気もする


3

荒波に揉まれた
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