夕焼け心中/そらの珊瑚
トリセツをただの一度も読まずとも正しい呼吸の仕方はわかる
もともとはペアであった靴下も気づくと穴が片方だけに
色褪せたペエジをめくる緑風が塗り替え時期と付箋をつけた
強風でバタンッと閉じた扉には怒りにも似た狂気をはらみ
永遠の波間に浮かぶサンダルを拾い上げればまた夏が来る
やわやかな空気を含む腐葉土は全て育む寛容を持つ
先に逝き待ってる人はおしなべてゆっくりおいでと微笑んでいる
柔らかい心のどこかに手をかざし瞳に真水 【自動水栓】
朝に逢い昼に離れられなくなり日暮れに終わる夕焼け心中
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