カレタスフィア/
高原漣
干からびた海に浮かべた船でわたしは舵輪を取る
祈りの形に凍りついた手
そんな人々を見送りながら
抜錨
伝声管から
機関よろし
声がかかる
土煙を上げる
スクリューが歌いあげるのは
終わった夢
両舷、前進微速
行く手にはなにも無く
港は
打ち棄てられた白骨のように
しゃれこうべもからっぽの眼窩でないていた
帽振れ、帽振れ
わたしは
未来と指切りするのをやめた
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