かつて/キメラ
緑の禍禍しい水車小屋にて光に乱反射した絶叫から誕生した、
最後の温度に朽ちた6人の少女、束ねられた藁、ガソリンの香りに眩暈う初恋の、あの。
引かれた導線なだらかに曲がり、青い星灯りの夜汽車が走る。
願いながら、この白糸がちりぢり燃えてしまわぬよう、永遠が死んだ日の躯
砂になり、車輪の下、乞えぬまま気化された、あの。
なにも、もういいだろう。だだっ広い真昼のショッピングモール、憎悪の原体、
揺ぎ無い人間という無責任な呵責を嘲笑い、やがて訪れた不可視を叩き殺すだけの。
ああ、ああ、あなたもあなたも、あなたも皆等しく並んでいる路傍から私の墓石。
グラグラと空に逃がしてみたかった、あの。
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