幸せについて/吉岡ペペロ
 
でくれている

そんなお祭りムードのなか

ふたりは自然にそして同時に死ぬ

ふたりは空を翔けあがってゆく

おばあさんになったソーニャはどんどん若返ってゆく

おじいさんもどんどん若返ってゆく

少年になったおじいさん

少年はソーニャに昔の話をする

あのとき服を掛けてもらったおじいさん、ぼくだったんだ、

ソーニャは昔を思い出す

ソーニャの目が少年を見つめている

ぼくは神様なんだ、だからソーニャ、きみも神様になるんだよ、

少年もソーニャも空になる

空になっていまもみんなを見守っている

ざっとこんなお話だった

百歳まで生きて

それをまわりのひとも喜んで

愛するひともそうで

ふたりで自然に同時に死ぬ

そんなことをぼくは幸せだと感じていた
戻る   Point(8)