幸せについて/吉岡ペペロ
でくれている
そんなお祭りムードのなか
ふたりは自然にそして同時に死ぬ
ふたりは空を翔けあがってゆく
おばあさんになったソーニャはどんどん若返ってゆく
おじいさんもどんどん若返ってゆく
少年になったおじいさん
少年はソーニャに昔の話をする
あのとき服を掛けてもらったおじいさん、ぼくだったんだ、
ソーニャは昔を思い出す
ソーニャの目が少年を見つめている
ぼくは神様なんだ、だからソーニャ、きみも神様になるんだよ、
少年もソーニャも空になる
空になっていまもみんなを見守っている
ざっとこんなお話だった
百歳まで生きて
それをまわりのひとも喜んで
愛するひともそうで
ふたりで自然に同時に死ぬ
そんなことをぼくは幸せだと感じていた
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