幸せについて/吉岡ペペロ
幸せについて考えたことがある
小学二年生だった
結論がだせなくて
茶色いサインペンで童話を書いた
空になった女の子、という題名だった
一行めは、これはロシアのお話です
ソーニャという女の子がお使いで冬の森をゆく
途中寒い寒いというおじいさんにじぶんの着ていた服を掛けてあげる
しばらくゆくとまたおじいさんがいてソーニャはまたじぶんの服を掛けてあげる
とうとうソーニャはじぶんが凍えて死にそうなのを自覚する
時は経って
ソーニャは百歳の誕生日を迎えている
ソーニャの旦那もその日が百歳の誕生日だった
村中がふたりの百歳を寿いでく
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