すずらんのこと/はるな
ひとりで新幹線に乗るときの駅弁は寿司ときめている。新大阪からは巻き寿司、品川からは握り。東京からはめったに乗らない。缶ビールを買って、のみきる前に満腹になってしまう。
実家の庭に増えているすずらん。座り込む子どものように咲く。すこし離れて、祖母にと株分けされた一輪がきわだって白くうずくまっていた。
来月結婚式を挙げる。入籍してから一年が経つ日だ。打ち合わせが重ねられ、準備がだんだんと進んでいくのは、窮屈なことだ。それはなんだか入学式や卒業式と似ている。実感もないのに、まわりだけがベルトコンベアみたいにながれて。わたしだけが置いていかれているのか、まわりだけが足早に流れているのか、でもそ
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