いばら姫/未有花
 
薔薇よ薔薇
私の体を養分に美しい花を咲かせておくれ


あの人は行ってしまった
私の手の届かないところへ

ひとり取り残された私は希望さえ失くしてしまった
絶望という名の牢獄に囚われて
薔薇の臥所(ふしど)で永遠に眠る私はいばら姫

愛しい王子様が訪れるまで
薔薇に抱かれて眠り続ける

もしも戦争が終ってあの人が生きていたら
彼は私の元へ帰って来てくれるかしら

薔薇に包まれて眠る私をみつけたら
あの人はくちづけて私を目覚めさせてくれるかしら

虚しさよおまえの名前は?
もう何度同じ問いを繰り返して来たことだろう
きっと王子様は永遠にやって来
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