march/しもつき七
 
て、私めまいがし
て、階段をくるくる転げおちた。白い上履きを免罪符にした。


ほんとうは破壊、したい。ゴジラになって、生きている戦車になっ
て、あらゆる都市に突如出現したい。テレビのニュースではアナウ
ンサーが現場の状況を伝えていて、きっとみんなチャンネルを替え
る。



救いようのない私がいま対峙している相手は、ほんとうに敵なのか
な。ビームが撃ちみだれる。不可視の光線。バリアーで回避する、
少し傷つく。



次回予告が流れるスピードに追い付けないで転べば、とびちる桃色
の血で、金曜日の放課後。夕焼けやばくて、校舎の影のびて、こわ
れた街の瓦礫の上で、くちずさむ行進曲はやっぱり明るい。


また会おうね未来。うつむいて私は、制服のリボンをほどく。呪文
をとなえる。世界が少し、変わる。誰も知らない場所で。

戻る   Point(6)