家/中川達矢
 
雨はやわらかい線をともなって
ねむりを誘い
さそり座のアンタレスが輝くころには
夏らしい秋がおとずれている

今はししが野にかえり
地の上を歩く季節
かえるは家を守ることなく
足の吸盤を田で洗う

一人は二人、二人は三人という
自然法則に従って
子孫が親となる

いまここから見ている
月が太陽の光に添うように
やどるがつづく

戻る   Point(8)