閉まるドアと開くドア/ホロウ・シカエルボク
 
起こらない時よりもスマートに
その夜路上での出来事は進行していった
チャッ、チャッ、チャと警察が来て
何かを転がして何かを書きつけて
警察車両の中でひとりずつ話を聞き
他に用事があるみたいに引き上げていった
ふたりのドライバーは保険屋を待ち
保険屋はほどなくやってきた
絶対に眠っているところを起こされただろうに
保険屋たちはサクサクと仕事をこなした
そして20分後には誰もいなくなった
ファミレスかどこかで打ち合わせでもするのかもしれない


缶ジュースを飲んで家に帰った


ブルース・スプリングスティーンを小さな音で聴きながらこの詩を書いていると
アニメソングを大音量で流してる車が窓の外を走り過ぎた
目が覚めても抜け出せない夢があるのだろう
そしてその夢はよっぽど
居心地がいいのだろうな


おれはどんな夢も見られない
ただただぼんやりと寝床で目を開いて
閉まるドアと開くドアの
バタム、バタムという音を聞いている






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