閉まるドアと開くドア/ホロウ・シカエルボク
りじゃ年寄りのためにいくつか残されてる
戯れに潜り込んで受話器を耳に当てたら
ツーっと懐かしい音
なぜだかそれはそこそこ年を食った女が
明日の夕食の献立を懸命に考えてる呻きに聞こえる
出来たら明日は胃袋に優しいものにしてくれ
実際に受話器に向かぅて話しかけたら
すぐ後ろで誰かが呆れた気がした
もちろん誰もいやしなかったけど
むかし、このあたりに住んでいたんだ
まだそんなに古い話じゃないさ、あんまりイカした住処じゃなかった
あのときは
ろくに眠ることも出来ない環境に金を払っていたな
散歩するにはいいところだったけれど
なあ、こん
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