ひかり へだたり/木立 悟
羽がちぎれ
午後が見える
桃と乳の
濁りの音
近くにさわれぬ指の遠さ
水の層をつらぬく羽
大きな景から先に飛び去る
跡を跡に響かせたまま
午後の底の午後からとどく
小さな板の集まりの音
重なりの重なりを
流れる水
まだ喉に居る稲妻に
奥へ奥へと促す花
さらなる蒼を
蒼に待ちながら
曲がり角の花
変わらぬ風量
板から板へ
移る光景
岩になり城になり
花はくすんだ音を放ち
ひとつの笑みにじっとしている
銀と車輪と 不等距離の中心
空の浜辺のひとつの影
読めない文字の重なりが
午後へ午
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