4月29日/エスカルラータ
って
喧嘩もして
途中から女手一つになってしまって
でも危ないからって
妹の送り迎えは欠かさなかった
父が亡くなっても
一人で二人分なんだと言って
気丈に振る舞い続けた
そんな母が
お色直しの扉へ
手を引く相手として
「お母さん」と呼ばれた時
静寂が発火した。あの響きを
生涯忘れる事はないだろう
雨を洗う
プラチナの雨
光漬けになってゆくスリジエ
小さく伸ばした
その手をとって
人に永遠は無いとしても
永遠を持つ人には
なれるかもしれない
家族
見えなくなってもそれは
きっとずっと続いていく
ほとばしる絆が生んだ熱のかけらに
少しだけわがままな願いを乗せた
どうかこの日の主役が
あくる日も
また来る年も
試される渦のその先でも
その言葉の響きが持つ力を
受け継いでゆけますように、と
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