砂浜の奥で/長押 新
、熱は、体を登り、登りきると逃げていく。砂浜の奥では、粗末な隕石が、じわじわと冷えて、胎内にいる赤ん坊の形をし始める。体重の軽い子供の蹴る、砂浜、の、中で、息をする、沈静。
夜、降り続ける隕石の中で、呼吸が焼かれていく。喉が焼けるくらい大きな隕石。隕石は大きな声で泣き、耳を塞ぐと、やっと音が聞こえる、耳に手を当てて、大人たちはずっと聴き続ける、魂の、嗚咽。
裸足で歩く子供の、背中を、押して、風が、一人また一人とさらう。頭から、底に沈む。
耳を塞ぎながら、見詰めている。
ここは、黄色い、砂浜、
海水に浸り、茶色くなる顔が、
海底に刺さり、
それは砂、
或いは、誰かの、
子供
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