言葉の旅人/梅昆布茶
 
ぼくたちはことばの国のたびびと
遥かな源流から
ひとひらの花びらが流れてきてそれは
あらたななまえを与えられて言葉となる

ぼくたちは森を抜け荒れ野を辿り
大地から漏れ出た溶岩流に閉じ込められた時間を
自分のもののように味わいながら
雲の流れを言葉とする

時にはたわわに揺れる果実の
その重さと和毛に手のひらをくすぐられて
歩みを止め感嘆するその想いに
言葉を探す

夜空に散りばめられた世界の断章を
粉々に砕けた古代の骨片を
つなぎ合わせて歴史の道程を
言葉で満たしてゆく

そしていずれは生命の粒子とこころの成分を
無機の大海のなかから還元し抽出する

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