But Not For Me/ホロウ・シカエルボク
傷を隠したような
雨の後の夜空
走り去ったバスと
針のように深く
胸を突き抜けた言葉
傘を閉じた人たちの
話声は弾んで
バス停に残された
僕はいつまでも
テールランプの残像を探して
時刻表に記された数字には
もうどんな意味もなかった
断ち切られて
朽ち果てたこれまでだった
次のバスから降りてきた人たちが
僕の存在を否定して行く
バス停を離れて
あたりを彷徨った
街路樹の静けさは
まるで葬列の様で
オールナイトで古い映画を上映している
草臥れた映画館に潜り込んで
いままでに
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