金色の世界/euyih
 

紅く夕日の沈むとき
鍵の掛かった図書室で
いつかわたしは夢をみた

 完璧な世界
 無垢なわたし
 澄んだ空気

その日はきっと満月で
わたしの心はねじれて混ざり
前後不覚に走ってた

夢想の彼方に酔いしれて
よだれを垂らして笑ってた

 わたしを傷つけるものはなにもない
 誰もここには入ってこれない

ここがわたしの居場所だと
幸せなんだと知りました


気づくと辺りは濃紺で
帰りの放送流れてた

 誰とも会いたくない
 何もしたくない

弱いわたしは見たくない
濁った空気は吸いたくない

 完璧な世界
 無垢なわたし
 澄んだ空気


そうして月日は流れていって
わたしはひとりになれました

 眼を閉じれば金色の世界
 耳をふさげば草原の静けさ

痛みも恐れも 苛々することもなく
優しい 穏やかな世界で
幸せに暮らしましたとさ


  お終い
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