反吐と外皮/salco
 
太陽は早くもとんがった爪で
私のふやけた薄皮をひりひり剥がしにかかるようだ
脳天気な新緑は光の寿唄を歌い
雄々しい季節が育ち行く
やがて夜さえおずおずと踊り出し
女王の威厳を取り戻した月がしぶしぶ寝床に帰るまで
狂気の沙汰へと私を誘う
部屋にじっとしていれば
浅い胸の谷間がじっとり汗ばんで
夏の姿を夢に感じつつ
彼と少しは上手に踊る為
私の体はわずかに再び痩せ始め
貯え込んだ冬眠の脂肪を燃やす
その頃には
たんすも少しく体重を減らし
麻や綿の服達がシワを寄せてギッシリと
だらしない様で垂れ下がっている
秋からは再た信じられぬ程の
馬鹿げた色合いと恥知らずな形をして
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