反吐と外皮/salco
 
たんすの中で服達が
牛や熊みたいに押し合っている
それぞれに獣毛をマネた人型の
ウールや化繊の上着達
ラム革合革
色とりどりの
似合いもしないスカート達
無用に増えるコート達
毎年足りないパンツ達
冬の間私の毛布であった、
どれも貧しく薄汚れているそれ達を
嵩と重さにヘキエキしながら順繰りと
およそのところで洗い終えた頃
儚い花々の散り失せて
空は優等生の青をそびやかし
僕には臆すべき弱点など一つも無いよという風に
実にシャッキリカンと仁王立ち
私に先立ち風達は
水しぶきのなりをして身体を通り抜けざま
海へおいでよ早く!
とからかい半分言い置いて行く
太陽
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