千年樹/石川敬大
 





   樹木の幹を截ち割って
   樹木がうまれてくる

   ひとを截ち割って
   ひとがうまれてくるように

        *

   きょだいな
   ウロはぽっかりと
   重力と浮力を孕んでいる

   まるで
   歳月の奥ゆきがある

   そこから
   瑞々しい若葉がうまれてくる
   さいげんなく

   わたしが
   老いた手をかざすと
   ながれてくる
   冷気は
   まだわかわかしい
   だれかの霊気のようであった





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