シガレット/霙小町
 

 あしたもし  目が覚めなたなら
 この腕がなくなっていたらいい
 あなたばかりを覚える腕が
 憎らしい

 傷だらけのくせに
 健康なの 愛を知っている腕は
 白いだけのこの腕を
 わたしは愛せない

 あしたもし 目が覚めたなら
 この記憶がなくなっていたらいい
 苦いばかりのあなた
 甘い煙の匂いが喉を絞める

 愛に生きてたって
 傷は治る あなたのない日々を糧に
 部屋に残る傲慢な匂いたちは
 とらわれたままのわたし

 あしたもし目が覚めたなら
 そこが世界の死に際だったらいい
 そうしたらあしただけは
 あなたを愛せる
 きっと愛せる



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