ふるえ ながれ/木立 悟
 




垂直に聖なるものが地に倒され
狼の声を聴いている
流木がふちどる
真昼の路


終わりは来ない
そんな終わりが
もうひとつのはじまりまで
つづく


木の根元から湧き出る冬を
見つめている
水が空(くう)を切り
名を呼び 降る 


けだもの
従前
ないがしろ
ふるえ


夜が濡れ
光だけがあり
遠のきも近づきもせず
まぶしく 平衡に浮かんでいる


汽車の音
雨の音
誰もいない地を離れない
めぐりめぐり 離れない


ふるえている
夜の花の前で ふるえている
冬の終わりのような
朝をおそれて

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