Raindrops(ちぎるひと)/恋月 ぴの
「愛してる」
簡単じゃないはずなのに
誰もが街なかでささやきあっている
君だけを
このひろい世界を
※
勘違いしてしまうのかな
束縛されたく無いはずなのに
相手の関心を引こうと
みずからの心を生贄と差し出す
それが愛の本質でもあるかのように
※
口当たりのよいことば
ひとを惹きつける優しいことば
愛しているよとささやくことは容易いけれど
とことん信じあうには
ことばのちからだけじゃ物足りなくて
※
はや梅雨の前ぶれなのか
降りはじめた雨に其々の傘を差す
離してしまった手と手の距離ほどには
ふたりの心は離れていないと
肩に乗せた傘を回しながら普段どおりの笑顔で返す
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