煙が目にしみる/吉岡ペペロ
 
街全体がさみどりの煙のなかにあるようだった。

煙が目にしみる。

街道に木々がつらなっている。

そこには生まれたばかりの新緑が散らばっている。

この柔らかな色彩。

時間がまるごと冷たくなっている。

それは鉱物の色彩のようにも見える。

この煙にしばらく巻かれていよう。


18のとき、ぼくはあのひとに出会った。

20のとき、ぼくはあいつに出会った。

あのひととは体とこころを最愛で結んだ。

あいつとは時間と法則を友情で共にした。

煙が目にしみる。

ぼくだけが生き残ってしまった。

煙が目にしみる。

ぼくはまだ死に方を探している。


街全体がさみどりの煙のなかにあるようだった。

煙が目にしみる。

街道に木々がつらなっている。

そこには生まれたばかりの新緑が散らばっている。

この柔らかな色彩。

時間がまるごと冷たくなっている。

それは鉱物の色彩のようにも見える。

この煙にしばらく巻かれていよう。







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