『かさわすれ』/あおい満月
 
雨に振られた日は
必ずといっていいほど傘を忘れる
車窓から見える
雨雲から
ほんのわずかでも
晴れ間が見えていたりすると
もう傘の存在すらも
忘れてしまう
片手に缶コーヒーがあれば
なおのこと

おまえには高い傘は持たせられない
安いビニール傘でたくさんだ

呑んだくれた母の小言に
ビニール傘にはりついた雨粒が
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