つゆいりまえ/ブロッコリーマン
 
夏の声が遠く聞こえて
私は銀色の車体が纏う
緑色の線に魅入られる

夏の声を遠く聞きながら
私は日陰のコンクリート
じわりと汗をかいている

ビルが作る無風地帯が
私の気分を悪くする
夏の声が遠く聞こえて

私は森へ飛び降りて
灰色の風を纏う
夏の声を遠く聞く

『ソクラテスの弁明』を
少しだけ 意味も知らずに
暗唱できるようになっていて

私は夏の声を遠く聞いている

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