飛んでいた/
小原あき
風は飛んでいた
どこまでも飛んでいけた
そんな自分が誇らしかった
風は飛んでいた
飛ぶことしかできなかった
その運命に涙を流して
嵐を作った
風は飛んでいた
嵐を作るのにも疲れて
弱々しく飛んでいた
たんぽぽの綿毛は飛んでいた
風に抱かれて飛んでいた
やがてひとつが落ち着いて
ひっそり芽を出した
風は飛んでいた
たんぽぽに気付かぬまま
そよそよと飛んでいた
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