契約/藪木二郎
 
はね

 ところが君達変態には
 なぜかそれが
 できてしまうんだ

 たとえば君達に
 あれのブラインド・テイスティングを
 させたとするよ
 まあ
 元の有機体の個体名を隠し
 あれそのものだけを
 提示するとか

 すると君達はなぜか
 元の有機体の個体名を
 言い当ててしまうんだ

 ムフッ
 真希ちゃんの匂いだ

 とか

 オオッ
 寛子女王様の
 芳香
 輝き
 そしてこの奥深い苦みっ

 とかね

 つまり君達は
 エントロピーを超えるんだよっ

 これは凄いことだ
 本当に凄いことなんだよっ
 みちおっ

 そして僕達サッキュベーターは
 そんな君達の変態パワーから
 無限エネルギーを回収する方法を
 見つけたんだ

 だから

 ねえみちおっ

 僕と契約して
 魔道戦士になっておくれよっ
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