禁じられた遊びのように/
天野茂典
たで挟み付けると
尾をにぎった
少年はすぐに持参した油を
全身にかけた
蠍が暴れた
少年は父のライターを取り出すと
蠍にむかって火をつけた
蠍は身悶えながら焦げていった
ガソリンの匂いと蠍の匂いが混ざって
複雑な匂いをだした
もえる蠍
もえる蠍
禁じられた遊びのように
孤独な少年は
自分のパフォーマンスを眺めていた
砂漠の片隅の点にもならないような
樹木の下で
少年は快活になった
2004・12,05
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