おかえりなさい。わたしは彼の内腿へキックを放つ/鈴木妙
 
オゴリというやつでねじ曲げようと踏んでいるよう感じられるたかがそのことにまで配慮が及ばないの? 屈辱……屈辱ポンチですよ、人間の屑め!」
 怒鳴ってもらいたかった。殴られてもよかった。なみなみと注がれてよろこんでしまったA.O.Cワインを浴びせかけられでもしてこのクリスマスイブを台無しにしてもらえたならすべて許せていたのかもしれない。だが、彼はとりつくろうような笑顔で言ったのだった。
「きみの極楽町を離れたい気持ちの強さは、エニウェイ、地元にいながら親元を離れてひとり暮らしをしている、これがすべて物語っているんじゃないかな!」
 この後わたしたちは一度、別れた。
 
 わたしは恋人に殴ら
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