冬と行方/木立 悟
 





奥へ奥へ
枝の洞に
鳥のかたちの灯が燈り
迷いの声で話しはじめる


強すぎる光が
目に残すしるし
指が指を
抱き寄せるしぐさ


夕陽を知らない川を
流されてゆくもの
曇から曇へ落ちる
そのままの そのもの


花を祈りに
祈りを骨に
終わりを紡ぐ
枝のかたち


手のひらの河口に
集まる冬
稲妻のまなじり
爆ぜる水草


誰も幸せにならない星辰の
はじまりと
はじまりの
調和の無さ


翠の光を吹きながら
岩は水平線へ流されてゆく
遠去かる雨を追い
陸はゆうるりと現われる


岩の街から岩の森へ
夜は通りすぎてゆく
鉄の輪のむこうにかがやく川
金から白へ かがやく川


風が吹くたび 霧に戻る樹々
水たまりの底の 鳥と光
翠の渦と 洞の行方
迷いを迷いに照らし出す

























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