桃缶と祈りの夜に/石田とわ
 


             きみに桃缶をささげよう
             からっぽの胃にそれは
             やさしくおさまるだろう
             あまい汁は熱と痛みに苦しむ
             その身体をやさしく包むだろう
             きみの苦痛をとりのぞくすべを
             わたしは持たないのだ
             なにもしてやれないのだ
             祈りをこめてきみにささげよう
 
                







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