詩亡遊戯/ホロウ・シカエルボク
嗄れた午後、稲妻のように部屋を飛び交うファンタズマ、肉体は半ば、浅黒い影に支配されて、ああ、おれは迂闊にも砂浜に辿りついた術の無い海洋生物のようだ、身体はままならず、心ばかりが狼狽える…雨は爆発的に降り続け、安普請の家の壁は軋み続ける、その音の中に何度、聞こえるはずの無い声を聞いただろう、ほんのわずかな昔から、いついつかも思い出せぬほどの昔、壁に、紙に、ディスプレイに向かって、うわ言のようにおれが発し続けた声、いまとなってはそんなものに何の意味もない、言葉など、吐いてしまったところで死体と化すのだ、それを吐き出すまでの過程にしかおれは興味はない、すでに書き殴られたものをあれこれと論
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