言葉は生きている/まーつん
 
本当に 生きているのかも

蛆が 腐乱した死体を噛み砕くように
膿み爛れた記憶を粉々にして
心の深層に広く横たわる
無意識の大地に還し

蟻が わが身を覆う程の荷物を背負うように
大きく実った想いを運んで
心の表層を広く覆っている
意識の土壌を富まし

内なる世界に なにか 忌まわしいもの 美しいものを育んでいく
それは森となって生い茂り 花となって咲き誇り
目に映る世界の 受け取り方さえ変えていき
その人の生き方をも 新しい色で染めていく

もし 言葉がそのように あらゆる記憶の分子 その結びつきをほどいて
形なき原初の姿に返す 過程の一端を担っているのなら
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