言葉は生きている/まーつん
 
言葉は 世界を変え得るだろうか
病を癒せるだろうか
絶望に塗りつぶされた 魂の闇夜に
明けの明星を 手繰り寄せ得るだろうか

今日も 書斎の周りには
白いキーボードが貪婪に貪った
文字の食いかすが散らばっている
満腹の鳩にそっぽを向かれた
公園のパン屑のように

君は何のために 文字を綴る?
誰に向けて 何処に宛てて

この指の間からこぼれ落ちていく
無数の砂粒

思考の川床から掬い上げた
文字という名の砂
 
そこに輝く いくばくかの砂金の存在を信じて
今日もズボンの裾をまくりあげ 冷たい水に足を浸す

゛言葉はむなしい゛
…そうだろうか?


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