飛べ16:6分/マーブル
雨水ではしゃぐ雀を見ていた 水浸しになった朝はコラールで起きる 割れやすいグラスになった気分だ
一昨日、わたしの青い庭にルルという野良猫がやって来た 随分と眠たそうな目をしている黄色い猫だ
毎朝、クローバーを食べに来るようになっている わたしはルルには触ろうとはしない ただ茫然と見ている
悲しみを浸した浴槽で ちいさなシャボン玉をひたすら作ってたら
力つきた神様はこう云う 「そんなに待ってたら首が長くなって月まで届くぞ」と
わたしは大笑いして 少しだけ泣いた 空は暮れなずんでゆく最中だった
薄い橙とむらさきいろの 雲はちぎれかかって 夕日が輝いている時間だ
なんて曖昧な空だろうと わたしは思うのだ なのになんでこんなにも心が流れるのだろう
欠伸が出る話さ ちっとも進まない時計に ちっと舌うちしているのだ
飛べ
そんなシーンを思い浮かべている 16:6分
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