現実/marux2
 
散歩道で見上げた空に
何かが吸い込まれる気がした
夜釣りに行った防波堤で
何かに吸い込まれたくなった
近所の鍾乳洞で
私はとうとう吸い込まれた

現実の中にある非現実に近い場所
灯りという頼りを手放し
見えていたものを見ず
見えていなかったものを見る
いつもより鋭敏な感覚は
大地に立つことをより感じさせ
手を伸ばせばどこまでも
まるでこの星から飛び出すかのように
ひたすらにまっすぐと伸びていく
いつしかそれは闇となり
形を失う喜びを得る手前で
星が私の足に現実を伝える

灯りを拾い
吸い込まれた穴を背に
非現実の中の現実に
私は帰る
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