あんこう鍋 / 悪食賛歌/beebee
 




おいらは鈎にぶらさがったあんこうさ
口からいっぱい水を呑まされて
ぶらさげられて
身を削ぎ落とされる

皮も
鰭も
胃も
腸も
心臓も
肝臓も
膵臓も
みんなお前達の胃の中へ目指している

でもへそはないよ
ツルツルでへそはないんだよ

皮は煮凝りに
荒磯海苔を刻み込み
ブルルンと恥じらいに色付くよ

おいらの肝は石竹色に
蒸されて半月切りに並べられ
刻み浅葱ちらして
おろし自我ポン酢が辛いぞ

口の周り
顎も鰓も
小骨がギシギシの
から揚げが好いかもな

髭も
内蔵も
鍋の中で
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