こいのうた/2012/梅昆布茶
生きてゆくちからが 愛するちからがいまもあるならば
笑い転げたあのジョ−クを 思い出してよ
僕の最初のまちがいは 生まれたことだってね
いちばん不幸なのは 君と一瞬も離れることができないことさってね
あたしたちはビリヤ−ドの赤や黄色の球みたいに 誰かに弾かれて
そして誰かを弾きながら ポケットの奈落に落ちてゆくけれど
お互いの惨めさや不恰好さを責めたことはなかったよね だって
あなたとわたしの生きる文法の違いを知っていたから
あなたは洗練された符号のような恋人ではなかったけれど
ときどきは思いがけない意味を世界から切りとってみせてくれた
たねあかしは後でねって言いな
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