この春も、次の春も/wako
春のど真ん中
世は宴の真っ最中
桜前線は北上し
人々を巻き込んで
私を巻き込んで
妖気をただよわせた儚い花は
時に人を惑わせる
私は次元を踏みはずし
あなたと少し近くなる
そして
横にいる錯覚に襲われて
空虚な空間に話しかける
「きれいな花ね」
言葉は伝わる事なく拡散していき
引き戻された現実に立ちすくむ
日に日に春は遠ざかり
言葉はますます届かなくなる
駐車場の吹き溜まりで
ピンクの花びらが舞い
フロントガラスに貼りついては飛んでいく
ガラスで隔てられた春を
他人事の様に眺めて
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