貴蝶(きちょう)/朝焼彩茜色
 
貴蝶。あたしを、肌色の二足歩行なんて呼ばないで

貴蝶。大胡麻斑蝶は、黄金の蝶よね。貴蝶

貴蝶。浅葱斑蝶は、空と海を担う蝶よね。貴蝶

貴蝶。高貴な羽根の粉は、ティンカーベルからの贈りものなの?

貴蝶。だから、ゆるやかに舞い流れてゆくの?貴蝶の夏だけの人生のように

貴蝶。お願いだから、道路は渡らないで

貴蝶。紅の華の中をマンタのように潜りぬける
   美しい夕日に映える、その姿
   肌色の二足歩行より、存在感が目立つ

貴蝶。うっとりする、艶が弾き溢れる
   瞳に入れたいくらい
   
   あたしの瞬きと、はためかせる羽根の音だけリンクする

[次のページ]
戻る   Point(9)